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日本最北の食酢醸造元を訪問する。

前々から気になっていたのは、前出のラーメン屋さんだけではありません。f(^^;) 実は、郡山のお隣・須賀川市に、とっても気になる食酢醸造元がありました。

たまたま昨日は早めに仕事のメドが立ったので、直接蔵元にお電話をして、訪問の許しを請うてみたところ、非常に快く受けて下さりました。

そんな訳で、『ら~めん好房』にて昼食を摂った後、この蔵元へと向かったのです。

『(株)太田酢店』 食酢の専門醸造元としては、日本の最北にある蔵元です。

以前何度か同社の営業担当者さんとお目に掛かる機会があり、その確かな品質を確かめておりました。 今も我が家の定番調味料として、無芸大食妻が愛用しております。(^^)

蔵元は須賀川市の中心市街地から、大分離れた田畑の広がる場所にありました。 地元の方にはピンと来るかも知れませんが、『大桑原つつじ園』の至近にあります。 でも、あまりに目標物が無くて、一度行き過ぎてしまい、慌てて携帯電話で社長さんに誘導して頂きました…(^^;)

太田酢店 熟成タンク


平成2年に現在の場所に引っ越されたそうですが、その歴史は古く、何と江戸時代に遡るそうです。 先代までは発酵に木桶を使っていたそうな…

敷地内に踏み入ると、酢の香りが鼻に届きます。 社屋や敷地は思いの外コンパクト。 本当に手造りって感じです。 出迎えて下さった太田実社長。

太田酢店 太田実社長


今までも沢山の醸造家の方々と出会いましたが、私の中では近年希に見る“造りの人”でした。

蔵元の社長さんって、まず間違いなく醸造のプロ中のプロでいらっしゃいますが、大きく分けて“経営者に徹する社長さん”“造りの社長さん”がおられると思います。

太田社長は、間違いなく後者ですネ。 しかも筋金入りの…(^◇^ ;)

とにかく情熱的な方です。 一つの質問に対して、答えにまつわる種々の周囲状況を加えながら、もの凄い説得力のある答えを返して下さります。 一問20分ってところですか…(;^_^ A

暫く食酢の醸造プロセスを見直していなかったので、少々忘れ気味でしたが、どう見ても太田酢店の醸造は恐ろしいほど古式製法に忠実です。( ̄~ ̄;)

太田酢店 発酵中のモロミ


食酢醸造のスタートを、清酒の自家醸造からスタートする造り手さんなんて、果たして現在日本に何軒残っているんだぁ(?_?) でも太田社長は大真面目に「やって当たり前」って口ぶりです。

ありゃりゃ… これはとんでもない大当たりに出会ってしまったゾ。O(≧∇≦)O

「私の周りにいる人達は、皆キチガイか馬鹿ばかりです。」

太田社長は続けます。

「こんな酢を本気で気に入ってくれて、本気で売ってくれる人は、おおよそこの世間では“**キチガイ”とか、“**馬鹿”と言われるような人達ばかりですヨ。」 そう、とことん何かに打ち込んでいる人って意味です。 誰もやろうとしないような事に、全勢力を傾ける人は**キチガイ。 人の振りを眺めつつ、自分の立ち位置を考えながらも、何かに没頭するような人が**馬鹿。 これはある意味納得出来るなぁ…(^^;)

さするに太田社長は酢キチガイってところですか… でもちゃんと世の中の実勢を見ながら、酸味が苦手なことの多い男性でも、躊躇無く口にすることが出来る酢を色々と造り出しておられますからねぇ… この人はスゴイわ。

太田酢店 酢酸発酵室


↑酢酸発酵中の室です。 酢酸発酵は35℃以下では進まないので、室全体を適温に維持しています。 室の扉を開けると、ツンと酢酸香が鼻を突きます。

気化した酢酸成分が、室の扉のヒンジに緑青を作ります。 酢酸発酵の室の扉は、この強い気化した酸で傷みが発生していました。

最後にこっそりと社長の研究室を覗かせて頂きました。

「ここに隠れば、時間を気にしないで研究に没頭出来るんでね、二年前に今後のためにと増築したんです。 家族は私の姿が見えないと、ココに隠っている事を悟ります。」

うぅ~~~ん、ヤッパリ何度聞いても凄い!Σ( ̄ロ ̄lll) 取りあえず、私が抱えている知りたいことを教えて頂くまで、あと数回は通わねばなりませんね。
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Comments







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いいっ酢ね~!
私も一度お邪魔してみたいと思ってました。
先週須賀川のお得意先とのお話の中に登場し、今日もこのブログで拝読・・・
これは「酢キチガイ」にお会いしてこいって事ですねv-237
仕込みが終わったら行ってみます。
2007-01-23-08:47 にいだ
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にいだ様
アハハ、奇遇ですね。 仁井田様とは同じ醸造家同士、しかも同じく“造りの人”ですから、きっと共通するお話しが沢山あるでしょうね。i-179

しっかりと時間を空けてご訪問なさった方が宜しいかと思います。i-229
2007-01-23-10:28 無芸大食
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お酢の製造は、寒い所はだめなんでしょうかね、最北とありましたので
。酢は身体にいいとはわかっておりますが、なかなか、素直に摂取できないです^^^。ワハハハ。

なんか、お酢造りに情熱をそそいでいるのが解るような社長さんですね

2007-01-23-22:00 ララオ0181
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ララオ0181様
食酢の生産者目録を覗いてみる、圧倒的に“西高東低”ですね。i-229 特に鹿児島県は生産者が多いです。

食酢の製造法も色々とあるので一概には言えませんが、食酢のベースとなる清酒を造るには、やはり“寒仕込み”が理想的です。 一方、酢を酢たらしめる酢酸の生成には、高い発酵温度が要求されます。 温暖な地方、冷涼な地方、それぞれに向き不向きがあるようです。

> 酢は身体にいいとはわかっておりますが、なかなか、素直に摂取できないです^^^。
もしかしてララオさん、酸っぱいのは苦手ですか?? 実は私は弱いんです…i-240
2007-01-24-03:50 無芸大食
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太田社長さん、素敵な方ですね。
太田社長さんのような熱い職人さんに会うと、とても刺激されますね!
研究室は、太田社長さんの秘密の部屋ですね。
ここからどんなお酢が誕生するのか楽しみです!
2007-01-24-19:31 オードリー
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オードリーさん
そうかぁ… そう言えば、オードリーさんは職人さん的な方に、凄く惹かれるものがありませんか? この方は間違いなく、超一流の職人さんですね。

秘密の研究室には、まるで化学実験を行うような機材が沢山配されていましたヨ。 まるでショッカーの**博士の研究室みたいに…(爆)

太田社長は、人間の口にするものを造る限り、美味しいのは当たり前でありつつも、出来る限りの安全も備わっているべきと言う考え方です。 それをそのまま具現化しながら、敢えてそれを声高にアピールしないところが職人の由縁でしょうか…
2007-01-24-19:48 無芸大食
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う~む、このお酢、飲んでみたい!
やっぱり基本の調味料は良いものでそろえたいものですね。
しかし、いろいろな記事見ると、無芸さんはラーメン好きですね。
2007-01-27-11:58 Glutton
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Gluttonさん
昨日、東京から移住して来られた、洋食のシェフに見ていただきましたが、ベラボウに気に入って頂けました。i-179 ゲホゲホしながらネ…i-229

無芸は麺類大好きでして、一日1~2食は麺類を口にします。 実は当地の一人当たりの麺類消費支出は、日本一なんですヨ。 大旨東京の3倍の額面というデータを見ました。 それだけにラーメン店の数は多い上に、激戦区となっております。 お陰で色々な味を楽しませて貰えますけど…
2007-01-27-14:32 無芸大食
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麺頻度、凄いですね。県の麺消費支出にかなり貢献してますね。

人口から考えると、東京の支出額3倍と言うともの凄い消費量ですね。
東京と比べ、人口1/6だとすると、一人当たり18倍食べてるってことですかね?

我が家周辺も通称「ラーメン街道」なる道がある激戦区ですが、私は月に一度程度でしす。

そういえば、最近アブラそばの店が潰れて、チェーン店の喜多方ラーメンが我が町にもやってきました。
2007-01-29-17:40 Glutton
[ 返信 ]
Gluttonさん
あ、いやいや…i-229 郡山の市民一人当たりの消費支出です。 流石に東京の18倍は…i-240

油そばは食べたことが無いんですヨ…i-229 興味津々なんですけどね。 多分、当地には無いと思います。 お隣の二本松市に一軒あるようです。
2007-01-29-20:30 無芸大食
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