旬の酒 ひやおろし
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今週になって一気に気温が下がり、秋の長雨を思わせるような日々が続きます。 当地の最高気温は20℃を割ってます。
近隣のスーパーでも、近海で穫れた生サンマが手頃な価格で並ぶようになり、産地不詳な松茸なんかも見受けられます。 この節になると、酒販店の店頭に並ぶのが「ひやおろし」と銘打った清酒です。

日本の伝統文化と言うべき清酒には、その歴史の深さに裏打ちされた、とても素敵な季節感溢れる季語があります。 今の旬酒「ひやおろし」もそのひとつです。
冬の厳冬期に仕込まれた酒は、充分に発酵が進むとタイミングを見て搾られます。 お酒を搾る作業を「上槽(じょうそう)」と言います。 上の写真は今年の1月に、会津若松市の「辰泉酒造」さんを訪問した際に撮影しました。 この蔵元は会津でも最小の蔵元の一つで、古典的な醸造機器しか持っておられないので、一番分かり易いと思います。

成熟したモロミを酒袋(さかぶくろ)と呼ばれる袋に取り分け、酒槽(さかふね)と呼ばれるお酒を搾る道具にきちんと並べてゆきます。 このお道具が船のような形状である事から酒槽と呼ばれています。 上槽とは、タンクから槽(ふね)に上げるところを由縁としています。
超高級酒と言われる大吟醸クラスともなりますと、更に酒の搾り方も変わってきます。 酒袋を積み上げて重しを掛ける事をしません。 酒袋は口を縛って吊します。 自重量の重みで滴り落ちた酒だけを集めると言う、まさに贅を尽くした仕上げをします。

こちらは郡山市の「仁井田本家」さんの袋吊りの写真です。 こちらも今年撮影しました。 滴り落ちた酒は通称「雫酒」と呼ばれます。 お酒の酒質を競い合うコンペティション「全国新酒鑑評会」への出品用として、特別誂えされています。

滴り落ちた酒は、「斗瓶(とびん)」と呼ばれる18L入りの瓶に取り分けられ、滴り落ちた順番にイロハなどの番号を振られます。 既にピンと来たかも知れませんが、斗瓶の斗とは、単位を示しています。 一升は1.8L。 その10倍の単位が一斗です。
さて、こうして搾られた酒は、一般的に(一部例外あり)熱殺菌を施して、蔵内のタンクへと移されます。 そして夏を越してタンク内の酒の温度と外気温が同じくなる頃、お酒の熟成はいよいよピークを迎えます。
秋を迎えて美味しさの増した酒は「秋上がり」とか「秋晴れの酒」と言われます。
その美味しさの極みの酒を、タンクから瓶詰めする際に、二回目の殺菌火入れをしないで生詰めされたものが「ひやおろし」と呼ばれます。
ひやおろしの語源は、タンクから冷たいまま(火入れをしない)瓶に詰める(卸す)といった意味合いです。 昔は現在のように冷蔵輸送は勿論のこと、冷蔵施設が整っていなかったので、左利き達はこの生詰めの酒を心待ちにしていたそうです。
尚、火入れ殺菌は、通常二回行われます。 一回目はお酒に含まれている酵母菌や酵素を熱処理によって死滅させ、貯蔵中にお酒が変質することを防ぐため。 そして二回目の火入れは、瓶詰めの際に「火落ち菌」が入ることでお酒の変質をさせない為です。
お酒にとって火入れをすると言うのは、ストレスを与える事となりますので、特に熟成の進んだ酒には極論(あくまでも極論ですヨ)を言えばダメージと成り得ます。 これは若く体力のある若者と、壮年期の人が同じ負荷運動をした場合のストレスにも例えられましょう。
さて、如何でしょう? 秋の夜長に美味しい清酒と、秋豊饒の食べ物を組み合わせて、楽しくお過ごしになってみませんか? ご近所で「ひやおろし」を見つけたら、思い出して下さい。
近隣のスーパーでも、近海で穫れた生サンマが手頃な価格で並ぶようになり、産地不詳な松茸なんかも見受けられます。 この節になると、酒販店の店頭に並ぶのが「ひやおろし」と銘打った清酒です。

日本の伝統文化と言うべき清酒には、その歴史の深さに裏打ちされた、とても素敵な季節感溢れる季語があります。 今の旬酒「ひやおろし」もそのひとつです。
冬の厳冬期に仕込まれた酒は、充分に発酵が進むとタイミングを見て搾られます。 お酒を搾る作業を「上槽(じょうそう)」と言います。 上の写真は今年の1月に、会津若松市の「辰泉酒造」さんを訪問した際に撮影しました。 この蔵元は会津でも最小の蔵元の一つで、古典的な醸造機器しか持っておられないので、一番分かり易いと思います。

成熟したモロミを酒袋(さかぶくろ)と呼ばれる袋に取り分け、酒槽(さかふね)と呼ばれるお酒を搾る道具にきちんと並べてゆきます。 このお道具が船のような形状である事から酒槽と呼ばれています。 上槽とは、タンクから槽(ふね)に上げるところを由縁としています。
超高級酒と言われる大吟醸クラスともなりますと、更に酒の搾り方も変わってきます。 酒袋を積み上げて重しを掛ける事をしません。 酒袋は口を縛って吊します。 自重量の重みで滴り落ちた酒だけを集めると言う、まさに贅を尽くした仕上げをします。

こちらは郡山市の「仁井田本家」さんの袋吊りの写真です。 こちらも今年撮影しました。 滴り落ちた酒は通称「雫酒」と呼ばれます。 お酒の酒質を競い合うコンペティション「全国新酒鑑評会」への出品用として、特別誂えされています。

滴り落ちた酒は、「斗瓶(とびん)」と呼ばれる18L入りの瓶に取り分けられ、滴り落ちた順番にイロハなどの番号を振られます。 既にピンと来たかも知れませんが、斗瓶の斗とは、単位を示しています。 一升は1.8L。 その10倍の単位が一斗です。
さて、こうして搾られた酒は、一般的に(一部例外あり)熱殺菌を施して、蔵内のタンクへと移されます。 そして夏を越してタンク内の酒の温度と外気温が同じくなる頃、お酒の熟成はいよいよピークを迎えます。
秋を迎えて美味しさの増した酒は「秋上がり」とか「秋晴れの酒」と言われます。
その美味しさの極みの酒を、タンクから瓶詰めする際に、二回目の殺菌火入れをしないで生詰めされたものが「ひやおろし」と呼ばれます。
ひやおろしの語源は、タンクから冷たいまま(火入れをしない)瓶に詰める(卸す)といった意味合いです。 昔は現在のように冷蔵輸送は勿論のこと、冷蔵施設が整っていなかったので、左利き達はこの生詰めの酒を心待ちにしていたそうです。
尚、火入れ殺菌は、通常二回行われます。 一回目はお酒に含まれている酵母菌や酵素を熱処理によって死滅させ、貯蔵中にお酒が変質することを防ぐため。 そして二回目の火入れは、瓶詰めの際に「火落ち菌」が入ることでお酒の変質をさせない為です。
お酒にとって火入れをすると言うのは、ストレスを与える事となりますので、特に熟成の進んだ酒には極論(あくまでも極論ですヨ)を言えばダメージと成り得ます。 これは若く体力のある若者と、壮年期の人が同じ負荷運動をした場合のストレスにも例えられましょう。
さて、如何でしょう? 秋の夜長に美味しい清酒と、秋豊饒の食べ物を組み合わせて、楽しくお過ごしになってみませんか? ご近所で「ひやおろし」を見つけたら、思い出して下さい。
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